父から家業を継ぎ、こんにゃく芋の慣行栽培も行っていたんですが、平成に入ったころにこんにゃくの相場が暴落したんです。ただ生産、販売するだけでは経営が成り立たなくなってしまい、一生懸命やっているのになぜ?と思って、分析したんです。やっぱり農産物って自分で値段を決められないんですよ。でも私は自分が値段を決められる農業がしたかった。それでただ農産物を作るだけでなく、加工までやろうと決めて、こんにゃくの製品加工を始めました。
オーガニックを始めたきっかけは、加工したこんにゃくの販路を探していた時に、オーガニック・低農薬野菜を取り扱う通販会社に言われたひとことです。「農薬を使わない商品が欲しい。無農薬のこんにゃくはできますか?」って。すぐに「できます」と答えました。
当時はオーガニック栽培の技術がまだ確立されていなかったので、いろいろ苦労しました。芋が全部腐ったりとか。ある時、農業の先輩から「重要なのは科学的視点で見ることだ」と教えられたんです。土壌分析をして作物に必要な養分を天然のもので与える。ひとつひとつやっていくと、どんどん良くなっていったんです。芋が腐らなくなり、いいものが採れるようになりました。オーガニック栽培を始めて10年くらいかかってやっと正しいやり方に出会えたんです。
こんにゃくをオーガニックでやろうという話が出まして、生産できる所を探していて、協力会社から紹介していただいたのがグリンリーフさんでした。オーガニックのこんにゃくを作れるところって少ないんです。でもグリンリーフさんはオーガニック原料を大量に確保できて、加工まで一貫して生産できます。グリンリーフさんだからこそですよね。大変ありがたいと思っています。
グリンリーフさんは畑の真ん中に加工工場があるんです。すごいなと驚きました。こんな農園、ほかにないですよ。しかも工場もきちんと有機認証を取っていますし。あと、会社内に託児所があるんですよ。働く親としてはすごくありがたいですよね。従業員のことをすごく大切にしている会社だなと思いました。(十亀)
グリンリーフさんは味と品質に関わる部分は創業以来の手づくり精神を踏襲し、最終チェックと調整は人の目と手で行っています。また、生芋板こんにゃく、生芋糸こんにゃくは、原料の50%以上で保管がきかない生芋をすりつぶしたものを使っています。なので風味がよく弾力のあるこんにゃくに仕上がります。(十亀)
オーガニック農業をやっていてよかったと思うのは、いろいろな人と繋がることですね。単に売り買いではなく、自分がやっていることが日本や世界に、あるいはお客さまに喜ばれているという実感を得られるのは、オーガニック農業をやる最大の醍醐味だと思います。